最高裁判所第三小法廷 昭和58年(あ)1707号 決定 1984年4月27日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人鈴木隆、同山下善久の上告趣意は、憲法三一条違反をいう点を含め、実質はすべて単なる法令違反の主張であって、いずれも刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。
なお、日本電信電話公社の架設する電話回線において、発信側電話機に対する課金装置を作動させるため受信側から発信側に送出される応答信号は、有線電気通信法二条一項にいう「符号」にあたり、応答信号の送出を阻害する機能を有するマジックホンと称する電気機器を加入電話回線に取り付け使用して、応答信号の送出を妨害するとともに発信側電話機に対する課金装置の作動を不能にした行為が、有線電気通信妨害罪(同法二一条)及び偽計業務妨害罪にあたるとした原判断は、正当である。
よって、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 安岡滿彦 裁判官 横井大三 裁判官 伊藤正己 裁判官 木戸口久治)